【こんな幸せ】
EDWARD×HEIDERICH


 僕は、アルフォンス=ハイデリヒと言います。
 現在十六歳。
今は冬なのでもうすぐ誕生日がきて一つ歳を取ります。
 僕は性格のままのような季節の生まれだと良く女性からは言われます。
女の人はそういったことに敏感らしいですね。…まるで春の日だまりのようだと。
 僕自身はもう少し男らしい表現をしてほしいなと思う時もあるのですが、そう言ってくれたフロイラインは僕を褒めてくれたのでしょう。
 だから嬉しいと思います。
 
 現在は、ロケット工学を学ぶ為、ミュンヘン大学に通っています。
 僕は生粋のドイツ人ではないので、留学生扱いですが。(独国の学制は複雑に枝分かれしていて、普通大学に進む者は小学校を出た後ギムナジウムに進学するので僕の歳ではまだ進学の資格は与えられないらしいです)
 思った以上に自分のことが長くなってしまいましたね。ごめんなさい。
 今日は僕のたいせつな人の話をするのでした。





 かれは、

 二年前に故郷ルーマニアで出会った金髪の人。
 僕が専門書を探すのに良く行っている書店で、もう少しで届きそうな棚の本を懸命につま先立ちをして取ろうとしていました。
 その様があまりにも…何というか、とても可愛かったので(僕も男の人にそういう表現をしてしまっていますよね。…反省です)普段なら子どもにしかしないような、その本を手に取って彼に手渡したのです。

 男性にそういうことをするのは、誇り高いドイツ人(見事な金髪とぴしりとした姿勢が自然と僕にそう思わせたのです)には失礼だろうし女性に同じようなことをするのは僕自身に気恥ずかしさがあるのです。
 それは、見た目かの人が僕より幾つか年下に見えたからできたことではなかったかと思います。

 「取りましょう」と言ったすぐ後に一瞬見た書籍のタイトルは、独語で書かれたベルリン大学教授のもの。偶然にも僕が探していた物と同じでした。
 もう少し僕が早くあの本屋に来ていたら、同じ本を取ろうとしていたかもしれませんね。
 僕より頭一つ分背の低い…その人を僕はてっきり年下だと思いこみ、
 良くある「科学馬鹿」の仲間のように話のきっかけを探して…でもその人を吃驚させないように一言ふたこと話しかけてみたのですが。

 その人は、手袋に包まれた手に本を取った儘、何故か僕の方を睨み付けているのです。

 僕は不思議に思い訳を尋ねてみました。
 すると彼は、いきなりこう言ったのです。
 「…お前! オレのこと見てち…ちっせぇとか年下とか思っただろう!? お…オレはミジンコドチビじゃねぇーーーー!!! 
 い…言っとくけどな! オレ様はこれでも十六だっ!」
 
 その言葉の激しさも勿論ですが、僕はその燃えるような瞳に惹かれました。
 何かを為し得、またその先へ進もうとする強いひとみ。
 …一目見た途端、捕らわれたのです。
 僕は、確かにこのひとに惹かれたのです。
 心の底から。


 エドワード=エルリックという、「僕たちの世界」ではとても珍しい、金目金髪を持った美しくも烈しいひとに。


 僕は、非礼を詫びることも忘れしばらく茫然とエルリックさんを眺めていました。
 後に、「Edward」「Alfons」と親しくファーストネームを呼び合うようになるひとを。







 

 ミュンヘンの街角。
 お花屋さんの二階に下宿をさせてもらっている今の僕たちです。
 冬にしては暖かい日の窓辺に向かうように椅子へ腰掛け件の本を眺めていた僕に、

 「…ん? アルフォンス…どした?」
 いきなりエドワードは後ろから抱きついてきました。
 彼は余程僕を驚かせるのが好きなのでしょうか。
 思わず赤面してしまいます。

 「あ…エドワード。何でもないよ?」
 つとめて僕は平静を装って答えました。
 でも、赤くなった頬と熱は、ぴったり寄り添った彼に伝わってしまったことでしょう。
 恥ずかしいです。

 「な…、それ。オレ達が『運命の出会い』って奴をした時の本だよな」
 オレは運命なんて信じてないけどな? お前にならいいだろ。…エドワードは続けるのですが僕には既にその言葉が耳に届いて居ませんでした。

 やっぱり覚えてくれてたんだ。…あの時のこと。
 僕はそんな些細なことでもうれしくなるくらい、このひとの事が好きなのです。

 僕が笑っているのがわかったのでしょう。
 エドワードもにっとわらって。
 「なつかしいなあ…。お前あの頃自分のが年下だって知ってエドワードさんって呼んでた。全くかわいいったらなかったぜ……」
 と続け、僕の耳元で内緒話をするように、
 
 「腹減ったから飯食おうって言いに来たんだけど。
  今日のお前特別かわいいから…別のもの食べることにするな?
 …いいだろ? …アルフォンス……」
 と囁いて。
 こ…恋人のキスをしてきたのです……!

 「…エドワード! 今は昼間です!
 これ以上は駄目ーーーーー!!!」

 僕の必死の抵抗が成功した試しはありません。
 悔しいことに。



 この後のことは、賢明なフラウのご想像にお任せいたします。僕自身の口からはとても言えそうにないので。
 
 

Ende.
Ablesen, danke fur!
050820.K.Miyanohana.
050823(改訂)

拙サークル本にて既出のお話ですが「ハイデリヒ幸せ後援会」様の趣旨に添うかと思われたので謹んで献呈させて頂きます。(現在管理人様からのお返事待ち。フライングで拙ページ掲載してしまいスミマセン(/////)
豆丸彩様。おいでの皆様。
少しでも楽しんで頂ければ幸いに存じます。
(ハイデリヒさんファーストネームとアルフォンス=エルリックさんファーストネームを区別する為に敢えてお勉強中の独語で表記。…一応第九元言語で全部歌えるんですが(笑)文中の表記間違ってたらスミマセン(平伏) 宮乃花 伽寿湖 拝。)




すすす素敵・・・!リヒが初々しくてかわいいぃ!!(ときめき)
にやにやしちゃいます宮乃花さん!
もう寧ろ私が食べちゃっていいですか?(聞くな)

素敵な小説をご投稿頂き、ありがとうございました!!
豆丸拝

 


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